ああ、おれ、ここでのたれ死ぬなと、はじめての海外で思った瞬間。 Episode Ⅲ

で、その運転手さん待合室、集会所みたいなところで、待つ事、何分だろう?

 

時計を見るとか、そんなことすら考えなかったですね。

15分か?1時間か?

もう、時間の感覚がワカラナイ。

ほんと、こういう時の時間感覚って主観的だなと。

ずーと、運転手さん達の出入りと、トランプゲームみたいの見続けていました。

 

ふとしたところで、

ウーさん、あらわる。

で、また、こっち来いみたいな手招きされて。

 

外の水道で、あたま、水洗いしている別の運転手さん?のところへ近寄って行って。

ウーさん、なんだか事情説明してくれてるみたいで。

 

「おーおーわかったぞ」みたいな会話されてて。

 

で、ウーさんからその運転手さん、ワンさん(仮名)へ私の身柄は、引き渡されて。

 

今度は、ワンさんのバスへ乗り込む。40名ぐらい乗れる、大型のバス。

乗っているのは、二人っきり。

これは、間違いなく。

 

なんだか、私も、うれしくなって一生懸命喋ってみました。

「これ、いつも、乗っているバスなんですか?」

「いつもどこ、走っているんですか?」

「結婚されているんですか?」

もう、会話成立しないの分かっているんですけど、ひたすら話かけていました。

また、1時間くらいですかね。そんなバス道中。

 

で、目的地、ある大通りで、右に寄せてバスが、止まり、ここの道、まっすぐ行けとみたいな仕草。

 

もう、どう感謝していいのか分からず、財布から日本円、5000円だして渡そうとしたのですが、いい、いい、って受け取らないないんです。代わりに、指で輪っか作って。

「小銭?」で、ぱらぱら、もってる百円、50円、10円渡して。

ワンさん、それをすごく、うれしそうに受け取ってくれて。

なんだか、目の前にかざしてじっと見てるんです。

もう、そんな姿もかわいくって、かわいくって。

 

で、握手したくて手だしたら、ワンさんも恥ずかしそうにおずおずとだして。

「本当に、ありがとうございました。一生、忘れません」

って、こんなセリフほんとに、人は、言うんだ。ほんとの気持ちで。

 

外は、まっくら。昼過ぎの空港のバスから、もうすっかり夜の10時すぎ。

なんとか、宿につきましてまあ、心配していた友人に本当に滅茶苦茶怒られました。

 

それ以来、ほんとに、台湾の人大好きになりました。その後の旅行も、親切で人柄の良い台湾の人に沢山出会えて、楽しい旅行となりました。

 

「ああ、おれ、ここでは、のたれ死なずにすんだ」

ってなお話でした。