しんしょうふうけい

 心象風景ってなんだろう?

 

記憶も定かでないのですが、昔読んだ哲学の本だっけな?

人の考えていることや、感情は、結論づけると脳の中で行っている。

 

『心が痛む』なんて表現は、じゃあ、どうなんだろうね。

でもでも、確かに『胸がキュンとする』なんて経験は、誰にでもあるだろうし、

そんな題名の曲だってあるぐらいだし。みんな共感できる体験なんでしょうね。

 

読書体験の同時性ってあてになんない。

定点観測を、読書で行っている人のことをたまに聞きますね。

物語の中で、共感していたとこや、涙して感動した部分が、年を経て

全く違って読めた、理解できたいみたいな。

 

けど、違った体験ひとつあって。

 

19歳 予備校生の時なんで、19**年頃のことなんですけど、この小説の1部が現代国語の問題で抜粋して出たんですよね。場面は、ところどころ飛んでの掲載だったと思うんですけど、冒頭、

 

『その年、僕は、百六十二編の小説を読んだ』

 

から、始まって、喫茶店で巧みな技術で絵を盗んでしまうという場面。そして、彼らが、小雨の中を、笑いながら絵を抱えて走っていく場面、自分の心境の置かれていた状況にリンクしたのでしょうか?

ほんとうに、心のなかのそれらの絵が浮かんだんですよね。

 

それから、真似事のように受験勉強そっちのけで、本を貪り読みました。

 

振り返ってみて、今でも好きでよみ続けている作家達と多く出会えた時期だった気がします。この小説再読してみて、今、その物語の世界に余韻に浸っております。

 

読書体験の特異性って不思議ですよね。本を閉じて、物語の世界に浸る余韻が好きって誰か言ってましたが、本当にその通りで。

 

で、休日の夕暮れの今、読後の心の中の絵のささやきに、耳を傾けています。

 

星々の悲しみ (文春文庫)

星々の悲しみ (文春文庫)