性的人間 in 痴漢電車

先日の電車内での出来事なんですが...

 

帰宅途中、車両は、8割ほどは、乗客で埋まっている様子。私、座席でうたた寝してまして、ふと目が覚めた瞬間、目の前のガラス窓に写っている女性(向かいの吊り皮で立っていて反射している)  が、変な動きをしているのに気付きました。

 

吊革に捕まって体をくねらしているような感じで。

 

あれと思った瞬間に、女性の胸元から手が消えるような残像が見えたんです。

 

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「痴漢だ!」思い慌てて、その女性の後に立ったんです、丁度、右隣が、痴漢の容疑者。今度手を出したら即刻、現行犯でおさえてやると、ちょっと正義のヒーロー気分で、男性を見張っておりました。

 

しかし、人の気配に気づいてか何も起きません。なんだか私もガラス越しの瞬間だったので、自信がなくなってしまいました。

 

悔しまぎれに、電車の揺れを利用して男に肘打ちをくらわしたり、靴を踏んでみたりして牽制。そこで、改めて男性を観察したところ、50代ぐらいの細身のきちんとした男性で、スーツも上品、清潔感もあり、会社でもポジションあるだろうなと感じの人、まあ、痴漢には見えませんな。

 

「なぜ?公共の場でこんなことするんだ?」

 

と胸の内で思いながらも、理解不能のその男性のことがなんだか気味悪くもなってきました。(今、思えば、ここで問い正しても良かったのでは・・・)

 

そうこうしているうちに駅に着き、男性が降りて行き、女性も座席に座りました。

 

普通の日常の車内の光景。自分の中に後味の悪さだけ残りました。

 

それからの帰り道考えたんですが、あのガラス越しのことが事実だとしたら、

 

「どうしてあの男性は、ひょっとしたら一瞬で、社会的な地位も家族、全てを失うかもしれないのに、あんなことをするんだろう?」

 

ふと、思い出して、そんな痴漢の心情を綿密に書いた小説が、あったなあと久しぶりに大江健三郎氏の「性的人間」、呼んでしまいました。

 

 

しかし、女性は大変だ。社会的な偏見と性的な外敵、戦う相手は、強く気持ち悪いばかりです。

 

しばらく同じ時間帯の電車に乗ると自然とあの男性探す癖ついちゃいました。見つけたら、今度は、絶対現行犯してやると!。今のところ遭遇せず。

 

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

他愛の話でどうもです。

なんだか、晴れない気分をすっきり?させる為に文章にしてみました。

 

追記 この話、知人の女性にしたところ、『痴漢男性の内面なんてどうでもいい。とにかく、痴漢は、許せない!!!! 女性が可哀想』とひたすら怒っておりました。

 

 

性的人間 (新潮文庫)

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