『 人は、誰でも自分の詩人をもっている」- 前編 -
『 人は、誰でも自分の詩人をもっている」
どこかで、知った言葉なんですが、小説とか詩とか読んでて、
そうそうそれ思ってたこと!
それ言いたかったこと、そのまんまやん!
その主人公、まさに俺やん !
みたいなことってそういうことなんだろなと思っています。
なんだか、もやもや、言い表せなかったことを、プロの文章の技術家が鮮やかに加工して
出荷してくれる...みたいなことなんでしょうね。
だれでも、本読んでて一度は、思ったことある経験のひとつなんでは、ないでしょうか。
で、ずっと時間が遡って...
幼い頃に憶えている祖母との思い出の中に、
祖母、友人が訪ねてくると、いつも開けっ放しの応接間を必ず閉めるんです。
扉をぴしゃっと。すごい勢いで。
ずっとそれが不思議で不思議で。
でも、声漏れてくるんです。
「=X☆◯△◇×☆◯.....」
みたいな感じで。
それが全く聞いたことない言葉喋ってるんです。
幼心にうちのばあちゃんの正体は、絶対、宇宙人って思ってました。
本当に。
親族の法事や、集まりになると父親が神経質になって、僕を2Fの部屋に
上げて、絶対降りてくるなと、強面で注意されるんです。
絶対、銀行強盗とか、悪い相談してるって、
悩んだりしてました。
真剣に。
(ああ、子供の妄想ってすごいな)
で、思春期も近づいてくるとだんだん、そうした事情も察してくるんです。
うちには、表立って言えないヒミツが隠れているって。
続く....
因果応報って?
花火ときくと思い出すこと。
私の田舎は、ちょっと外の人にも誇れるような花火大会が8月に催されます。
田舎人なりのささやかな勲章とでもいうのでしょうか、ちっちゃな頃から、あの花火大会
は、本当に凄いんだよ。数といい、質といい。
なんて、親や、周囲の人から聞かされていました。
で、思春期のはなし。
だから、みんな、異性を意識した年頃から、小学生の高学年くらいかな。
誰に、告白して、誰と花火大会に行くか?なんてことのすごい妄想がはじまります。
もう、暑くなると同時くらいに、頭の中もそれをなんとか実現させようとヒートアップみたいにしてる状態になります。
もう、一生懸命ラブレター書いたり。もちろん、紙とペンつかって。
辺り構わず告白しまくり、振られまくる奴とか。
狙いを定めて、新年ぐらいから慎重に、好きな子にアプローチをしてく奴とか。
wブッキングしてテンパってる奴とか。
それは、それは、田舎のちっちゃな10万人都市ですが、待ち中全体ですかね、そわそわしてるんです。
ゆっくりね、ゆっくり、いつもよりゆっくり学校から帰るんです。
意味なく、振り返ったりとかしたりして。
意味なく、公園道草したりとか。別に、したくもないのに。
......誰か、告白にこないかな?.......
下駄箱開けるのに、手紙!と、期待して毎日開けたりとか...
机の中を無意味にさばくったりとか....
なので、毎年、花火ときくとあの頃の情景をいつも思い出します。
なんの予定もないのに、なにかを待ってる期待感とワクワクな気持ちと一緒に、授業の終わった、放課後の教室の残っている感覚、あの空気感。
他愛のない雑談。
でも、みんな頭の中は、なんか違うこと考えてる。
僕にとっての花火大会は、綺麗さや、凄い音でもなんでもなく、何かを、起こり得そうなで起こり得ない、
『奇跡を待つ』は、言い過ぎかな。
あの、待っている、
なんとも言えない恍惚感に満たされた、
それは、それは、美しい教室の夕暮れかもしれません。
青山トンネルで痴漢に遭遇した夏。
人生で、痴漢に遭遇したのは、これで2度目のことです。
1度目は、日比谷線の車内の中で。
性的人間 in 痴漢電車 - peekaki’s diary
で、今回。
暑い夏でした。用事があって六本木から渋谷まで、246をずっと自転車でのんびり走ってました。六本木からですと、西麻布の交差点でぐっとおりて上がって、それからは、比較的なだらかなに下がっていっている感じ。比較的こぐの楽な感じなんですよね。で、たらたら。自転車のカゴを気にしながら。
友人の結婚式の祝いということで、六本木のワインショップで、シャンパン購入してました。やや危ないながら、カタコトトと。
で、青山トンネルの手前の交差点あたりで。
道路挟んで反対側の歩道に、
赤いキャリーバックでゴロゴロ歩いている女性がいました。
白いシャツ体のラインがくっきりでてまして、デニムのショートパンツですかね。
長く白い足がこれもはっきり、すらっと。薄暗い電灯の中ではっきり見て取れました。
で、女性、信号待ちしてまして。
と、その時、信号無視のベスパが徐々に女性に近づいていくんです。
あれ、とやや、はなれた場所から自転車漕ぎながら、見ていると。
おもむろに、ベスパにのっている男がおりまして。
いきなり女性の後ろからガバッと抱きつき。
下品な言い方しますと、後ろから乳揉んでいるです。
声にならないような感じで、「ちかんです...助けて!!」と必死に叫ぶ女性。
しゃがみこむんですが、調子にのってのしかかるように、止めない痴漢。
とっさですかね。
自転車、乗り捨てて。
駆け寄って。
引き離して。
肩つかまえようとしたんですが、奴も必死に逃げに入って。
顔、対峙した時に、「うんぎゃー」なんて訳のわからなし声を
私に発しました。
メガネかけて、まあ、学生ですかね。大人しい感じ、23、24歳といったところ。
いやあ、間近30cmのところに痴漢の顔ありましたから、びっくりしましたし、
今思い出しても、あの表情と、奇声、気持ち悪くて。
変なことって憶えているもんですね。
逃げる奴。
バイクに乗り込もうと。
追いかけてベスパ蹴ろうとしたんですが、届かず。
ブーっと。
で、女性に駆け寄ると。
「ありがとうございます」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です。こういうこと、よくあるんです」
「よく!?。はあ」
「ところで、バイクのナンバー見ましたか?」
「いやあ、それどころでなく必死で追いかけてたんで」
「大丈夫です。私憶えてますから」
で、携帯とりだして、警察に、
「はいはい、そうなんです。青山トンネルの手前の交差点で。
はいはい。茶色のベスパで、ナンバーは、××23..です。
きっと、この辺徘徊しているんで、気をつけてください。
はい、はい。あっ、私は、全然平気です。それじゃあ、お願いします」
また、手際のいいこといいこと。
ちょっと、びっくりしながら。
「大丈夫ですか?少し送りましょうか?」
「あっ、全然平気です。ありがとうございました。
それじゃあ」
って、またゴロゴロと。去って行きまして。
しかし、どれくらいこんなこと経験して、事後処理含めて慣れたんでしょうね。
あんな、状況の中、被害者の彼女が、きちんとバイクのナンバー憶えてたのも、
いやあ、いろんなことが驚きでした。
なんだか、変な気持ちのまま、自転車へ戻って。
ちょっと、正義のヒーローしたような、仕損なったような気分で。
救いは、「しまった!」と思って割れてるものと思ったワインが、
乱暴に乗り捨てたカゴの中で存外無事だったことぐらいですかね。
ああ、おれ、ここでのたれ死ぬなと、はじめての海外で思った瞬間。 Episode Ⅲ
で、その運転手さん待合室、集会所みたいなところで、待つ事、何分だろう?
時計を見るとか、そんなことすら考えなかったですね。
15分か?1時間か?
もう、時間の感覚がワカラナイ。
ほんと、こういう時の時間感覚って主観的だなと。
ずーと、運転手さん達の出入りと、トランプゲームみたいの見続けていました。
ふとしたところで、
ウーさん、あらわる。
で、また、こっち来いみたいな手招きされて。
外の水道で、あたま、水洗いしている別の運転手さん?のところへ近寄って行って。
ウーさん、なんだか事情説明してくれてるみたいで。
「おーおーわかったぞ」みたいな会話されてて。
で、ウーさんからその運転手さん、ワンさん(仮名)へ私の身柄は、引き渡されて。
今度は、ワンさんのバスへ乗り込む。40名ぐらい乗れる、大型のバス。
乗っているのは、二人っきり。
これは、間違いなく。
なんだか、私も、うれしくなって一生懸命喋ってみました。
「これ、いつも、乗っているバスなんですか?」
「いつもどこ、走っているんですか?」
「結婚されているんですか?」
もう、会話成立しないの分かっているんですけど、ひたすら話かけていました。
また、1時間くらいですかね。そんなバス道中。
で、目的地、ある大通りで、右に寄せてバスが、止まり、ここの道、まっすぐ行けとみたいな仕草。
もう、どう感謝していいのか分からず、財布から日本円、5000円だして渡そうとしたのですが、いい、いい、って受け取らないないんです。代わりに、指で輪っか作って。
「小銭?」で、ぱらぱら、もってる百円、50円、10円渡して。
ワンさん、それをすごく、うれしそうに受け取ってくれて。
なんだか、目の前にかざしてじっと見てるんです。
もう、そんな姿もかわいくって、かわいくって。
で、握手したくて手だしたら、ワンさんも恥ずかしそうにおずおずとだして。
「本当に、ありがとうございました。一生、忘れません」
って、こんなセリフほんとに、人は、言うんだ。ほんとの気持ちで。
外は、まっくら。昼過ぎの空港のバスから、もうすっかり夜の10時すぎ。
なんとか、宿につきましてまあ、心配していた友人に本当に滅茶苦茶怒られました。
それ以来、ほんとに、台湾の人大好きになりました。その後の旅行も、親切で人柄の良い台湾の人に沢山出会えて、楽しい旅行となりました。
「ああ、おれ、ここでは、のたれ死なずにすんだ」
ってなお話でした。
ああ、おれ、ここでのたれ死ぬなと、はじめての海外で思った瞬間。 Episode Ⅱ
とにかく、バスの運転手さんに助けてもらおうとして。
事情を説明(まあ、できる訳ないんですけど.....してみようと思いまして)
前部の運転席に駆け寄ったんです。
おまけに長く乗ってたので手持ちの台湾ドルですと、運賃も払えないですし.....
「どうしよう、無賃乗車で、警察呼ばれたら、いや、警察いったら日本語喋れる人表れて、もしかしたら助けてくれるかも?いやいや、ここは、外国、よくクスリに手だした
外国観光客が、裁判にかけられて、なんて話もあるし」
数秒のうちに不安の思考の渦が廻る、廻る。
ああ、外国労働者として一生、ここで皿洗いとして過ごすのか?
結婚ぐらいしたかったな....子の親にもなってみたかったな....
とは、ポジティブななんだか、それすらも分からなく頭にいろんな要素がよぎります。
手紙に友人がルームシェアしている部屋の電話番号書いてあったので、
「とにかく、電話を借りたい。貸してくれ」って、日本語、英語で意思を伝えてみるのですが、まあ、運転手さん、これが表情読めないんです。理解しているのか、怒っているかも、困っているのか、さっぱりわからない。電話のジェスチャー、手で、受話器もってるあれ、やっても、なんだか理解してくれていない。えっ、この電話ジェスチャーって全世界、人類共通じゃないのなんて、泣き叫びたい気分に襲われます。しまいに、僕のこと、無視気味に自分の荷物片付けだして降りる支度始めました。
ええ、まじで、この地、台湾の地、見知らぬ土地でおいてけぼり......
野垂れ死に.....
そんな想念がよぎる最中に、身支度整えた運転手さん、ちょっと僕のこと手招きするんです。「こっち、来い」みたいな感じで。
どうなるかわかんないけど、ついていくしかないですよね。
選択肢なんてある訳ない。
そしたら、小さな小屋というのかな、いわゆるバス運転手さん達の休憩所連れて行かれました。
で、そこに座ってろみたいな仕草。
おお、なんだかこれは、いい方向に間違いないぞ、とちょっとだけ気持ちほぐれてきました。これは、チャンスとばかりにとにかく、もってる友人の手紙見して、住所が書いてあったので、ここへ行きたい !と、必死の形相で、必死に懇願する。
また、相変わらず表情読めないんですよね。同じ、アジア人なのに、理解しているのか?無視しているのか?本当に、ワカラナイ。
で、その運転手さん、仮に名前を、(ウーさんとします) ウーさんどっかいってしまうんんです。僕の事情を分かっている唯一、のウーさん。どこいくの、助けてよ。
その部屋、また、30人くらいの台湾の運転手さんのいる部屋で。
で、僕の座っている椅子のすぐ近くで、4人がカードやってるんですよ。まったく見たことないカードで、記号だかな、漢字だかなんだか書いてあって。
お金、かけてるみたいな感じで。ポーカーみたいですかね。また、だれかの手でオーオーやら、くやしいやら、勿論台湾語でやりとりしていまして。
興味もってルールどうなんだろう?ってずっと見てたら、テーブルの一人が、お、お前も参加するか?みたいな仕草。いやいや、まだルールわからないしと、首振ったら、なんだか皆んな、大爆笑して。
なに、おれの仕草そんなにおかしいのか?
-続きます-
ああ、おれ、ここでのたれ死ぬなと、はじめての海外で思った瞬間。 Episode Ⅰ
初めての海外旅行で本当に
「あっ、おれ、死ぬなこれ」って思ったハナシなんですけど。
遠い昔、といってもまあ、20年前くらいのことで。
台湾行ったんです。ひとりで。初めての海外旅行で。
いまこそ、台湾も日本人向けにTVでCMとか、してて結構行ってる人多いとは思うんですけど、私の行った頃は、まだ、そうでもなく。
結構、向こうで日本人の観光客なんて、珍しがられました。
また、それは、安全になってからの話で。
友人が、台湾で仕事してまして、遊びに来いとの手紙を頼りに、はじめてパスポートとって、はじめて飛行機に乗ってピューっと。
勿論、海外でsim freeの携帯とかなんてある訳ない時代なんで、
手紙に、現地に着いたら、これこれのバス停から乗って、あれこれで、降りれば迎えにいけるからと。1枚、台湾の紙幣が入ってまして。注意書きで、
「空港は、レートが高いから日本円は、両替するな。また、こっち来てから手続するから」と。まあ、友情、気遣い。
で、右も左も分からない空港で、なんとかバスに乗り込んで。不安ばかりのバスの車内で、降りそびれたらいけないと、ずっと、目的のバス停こないかと、外、凝視してたんですけど。
目的のバス停にちっとも停まらない。そのバス停が、いつまでたっても現れない。
外も暗くなってきてあれれと思っているうちに、バスが、倉庫に入ってくんですよ。
あっ、やってしまった。乗り間違いか、バス停見逃したか、そこではじめて気付いて。
で、台湾語もできないし、日本円もってないし、ここ、まったくの外国だし、もちろん、(携帯なんてもってないし、というかない時代だし)、外は、完全夜だし、
「ああ、死ぬな、おれ。ここで、のたれ死ぬな......]
真剣に思いました。
-続きます-